ことばの力
負のことばを投げかけられていると疲れる。
先日長男と上着を買いに行った。
今まで着ていたコートのチャックが壊れてしまい、前が締まらなくなってしまった。
寒いからなんとかしてくれと言ってきた。
私に新しくチャックを付け直す力量はないので、バーゲン時期だし買ってあげようということで駅ビルへ。
だけど息子はいつもの様に自分の買い物なのに決められない。
フロアのメンズショップをグルグルと巡る。
ウールのコートがいいけど前がV字の襟裳のものしかない。これだとマフラーがないと寒いけどマフラーは嫌い、
だという。
それじゃ、ダウンしかないじゃん。軽くて暖かくて学生の装いにピッタリだし……
というと、なんとなくまだ抵抗感があるらしく嫌がる、
段々なんでもよくなってくる。
いいのがないなら、止めようか⁉️
壊れたチャックは、私には直せないけど。
手を通してみることもしないんじゃ似合うか似合わないかもわからない。
すると、試着すると断れない感じになるから嫌なんだよ。
と言う。私は学生時代メンズショップの店員をしていた。
男性というのは確かに買い物する時しか店に来ない。
冷やかして帰ることはなかった。
冷やかしは私にしてくるだけで、そういう人は服をみる目的では来なかった。
さて、そうは言ってもやはり寒いのは嫌らしくなんとなく無難なダウンを着てみる。
……小さくないか⁉️
と私に聞くがどうやら今の流行りはピッタリと着る形らしい。
店員いわく
サイズ感的にはMでいいと思います。こちらはデザインが少し長めに出来ているからこれより大きいと長いと思いますよ
という。もっとゆるゆるしたのがいいならLもあったのでそちらにしてもいいのだが、言われるまま会計していた。
そして目的終了なので帰ることにすると文句が。
なんだかやっぱりキツかった。それにそんなに気に入った訳じゃないし。
試着するとやっぱり買わないとってなるから嫌なんだよ。何ですぐ店員に声かけるんだよ
帰路につきながらこれに似たことばを繰り返されると段々と疲れてくる。
お金を渡して自分で買ってこいといったところで買いにいかないじゃないかと思うのだが、そんなことを言うと益々負のことばが返って来るだろう。
こちらは無言になってしまう。
そして帰宅して紙袋をそのままにしているので次男に
お兄ちゃんの新しいやつ。ちょっと着てみて
と着せてみる。店では沢山の衣類があるからわからない。これだけになるとなかなかきちんと物も出来ていて悪くない。
おっ、暖かい。これだとTシャツ一枚でも平気なんじゃない⁉️
と言う。すると長男ももう一度手を通す。
なんだかよい感じだ。
あんなに文句言ってたのに。
どんな時もそうだが、負の感情は負のことばを生む。
感情が、わいたとしても聞いた人まで負の気持ちにさせるから、ことばでは出さないに限るなとあらためて感じた。