嘆く人よ
嘆く人よ。
嘆いて何が変わるだろうか?
満たされないものは嘆いて満たされるのだろうか?
こころの空洞は嘆いていても満たされないだろう。
喪失感を埋めるのは、失った後に語られることばを聞くことなのではないだろうか?
失ったものは全くなくなってしまった訳ではない。
必ずあなたの胸の内、何かを宿しているはずだ。
それとの対話は自分と対峙する中で生まれる。
宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を読むたびに、私の中のカムパネルラが語る。
一度銀河鉄道に乗ったからには、再び乗るまで寂しさと共に生きる。
生きることは寂しいことだと知ったからだ。
しかし孤独は人のこころを豊かにする。優しさを、他者への慈しみを知る。
寂しさを知らないと、その感情を理解することが難しい。
その気持ちになる時、私たちを作った、あずかり知らぬ存在のことを考える。
きっと彼の存在も大きな孤独の中永遠に生きているのだろう。
その思いに浸される時、私たちが繋がっていることを感じるのだ。