年末年始に読みたい作家①
時に一生読み続ける作家と出会うことがある。
私にとっての池田晶子がそれだ。
今から10年近く前に本屋の架書で出会った。
すでに池田が亡くなった後で、残された作品を読み直す度に、今なら一体どんなことを書いてくれるのだろうと思う。
その頃私は
なぜここにいるのか、どこから来てどこへ行くのか。
この永遠の謎について考えるともなく考えていた。
何不自由ないはずなのに、こころのどこかが渇いていた。
池田は簡易な文章で本質をつく。
人が生きることは、幸福になるためだという。幸福は外になく自分がそう思うなら幸福なのだ。
幸福な時は、なにもののせいにもしない。自分の責任を自分で取る。そういうことが出来て初めて幸せな気持ちになる。
何度も池田の本を読むうちにそれはじわりと私のなかに染み込んで広がっていった。
外に求めないでいることは、不平を自然と言わなくなる。そして自分のしたことを何かのせいにしないということ、選択し行動したのは自分でしかなく、だからそれはどんな状況であっても自分の責任なのだと思うと、どんな状況でもこうして考え行動する自由というものはありがたいことだと思えるようになった。
池田は自分のことを他人のせいにしない。
他人のせいにしないということは今ある自らのことを受け入れることだ。
嫌なことなら、どうやって解決するか、悩まないかを自ら考えることだ。
池田晶子の文章から自らの責任をとるとはどんなことかを学んだ。