「からだの声の翻訳家®️」鶴木マキ∬しあわせのシグナル∬

日常から不思議な話まで。リーディングってなに?ポジティブってどんな思考?なんてことをつぶやいてます。

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涙の訳は⁉


「おっさんずラブ」が終わってしまう。


毎週土曜の夜を楽しみに過ごしてきた。
内容が今までみたことがないほど濃くて1話があっという間に終わる。


必ず最後がこの先どうなるの?という気持ちにさせてくれる作りになっていて、途中で見忘れることもなかった。


見忘れるどころか、次回に向けて何度も見直しながら、役者たちのセリフでない仕草や表情から心情を読み取ろうとまでしていた。


おかげで日々寝不足である。
人は脳で疲れを感じるというが、こうして寝不足なのに疲れより充実感を感じたのはひとえに、このドラマの中の人物がまるで本当に同じ時間を生きていると錯覚するほどリアリティが感じられたからだ。


回を追うごとに登場人物たちへの感情移入すぎして、冷ややかにみていたはずのTwitterに初めは「いいね!」→「リツイート」→「コメント」までしていた。
そして「私のコメント」にいいね!や返信まで返してくれる人もいる。


プライベートで知る人は、習い事のリーディング仲間にしかTwitterを教えていず、内容もブログアップのときに知らせる程度なので、ポツポツでも見ず知らずの方から反応を頂くことはない。
これには驚く。ありがたやーである。


個別のTwitterではリーディング仲間のみゅうさんともドラマの花が咲いた。


そして何度も何度も見直してどうしても気になった、6話の牧と春田の別れのシーン。


泣くと書かれてなかった春田が、牧の涙をみて泣く。
視聴者も製作者たちをも泣かせる。
これはふたりがこのドラマの間濃密な時間を過ごした結晶がこうして映像に仕上がったのではないだろうか?
撮り直すことことなく仕上げたいう。さてその時の内容は割愛するが、


最終話ではそれから一年が経過している。


出会ってからずっと幸せではない、苦しいと漏らし別れましょうと泣いた牧はどんな風にこころの成長を遂げたのか、非常に気になっている。


主人公春田創一は、イノセントなバカ野郎だ。
誰をも受け入れてしまうほどのお人よしなのだ。
自分の為に泣いている人がいれば部長だろうと幼馴染の女子だろうと抱きしめてしまうイノセントマンなのだ。
だけど、それだから最愛の人を無意識に傷つけていることに気がつかない。
最初のうち、牧は自分の気持ちをまだ、表現できていた。
「部長に春田さんは守れません」
「春田さんが好きだ」
そんなことが言えていた。
でも回が進み、春田をどんどん好きになっていくうちに自分の感情を出せなくなってくる。
たまに切れて爆弾を投下して鈍感な春田をアワアワさせる。


言葉でなく表情や仕草で読み取るように仕向けてくる演出なのか、役者がそう入り込んでみせた表情なのか、画面からひとときも目が離せなくなるのは、その呼吸ひとつにも感情が込められている瞬間があるからだ。
そんな訳で何度も見返してしまうのだ。
妹はスルメドラマと呼んだが、その通り。


前振りが長くなったが、以下にみゅうさんに書いた私の見解のせてみまーす!!



別れの場面を頭の中で反芻している私です。
そして深読みくらい深く読んでいます。
牧凌太の屈折ぶりは物凄いのではないかと思ってしまいました。
考えすぎかなぁ。


春田バッシングが多いそうだけど、あれは春田の性格からあんな風にしかならなかったのだろうと思われます。


ずっと苦しかった牧に対して、苦しく思わせていたのは自分であると分かると同時に、苦しくなってしまう牧の気持ちは春田自体の存在が変わらない限り無理だし、変わったら変わったで牧はそんな自分を喜ばないだろうことを知っていたのではないだろうか⁉


だから表面的な自分の悪いところを直すと言っても首を振る牧に対して泣くしかなかったのだろう。


ふたりとも優しすぎるわけで、春田が破壊神と言われるるゆえんは、誰をも同じに受け入れるこころがあるから。


逆に何事もゆるしているようにみえて、実は独占欲の塊なのは牧の方だったのではないだろうか⁉


好きな人が一番幸せでいられる状態を作れる存在が自分でなかったとわかることが苦しい。


それはあるがままを受け入れてしまう相手に恋してしまったからなのだろう。
春田にとって、一番の幸せってなんなのだろう。
一番好きな人が側にいることなのだろうけれど、春田はみんなが好きだから。
でもその中でも牧に行くなといったのだから、本当は牧が一番なはず。
でも6話の別れでは行くなと言えなかった、なぜなのか?


武川主任を見ればわかるように、牧だけになびくようになる相手(まさむね、と名前で呼ぶことからもわかるように、今までの相手は誰もが牧に恋をすると牧一色になっていたのではないだろうか⁉)がこれまでの恋愛であったのではないだろうか?
牧凌太は大した恋愛マスターだったのではないだろうか?
好きになった人それぞれがどうしたら最高の気持をこちらに抱かせることができるのか天性の才で知っていたのではないだろうか?


その時一番好きな人の幸せが自分で作れると思っていた今までと比べて、春田はノーマルだからなどという囲いも越えて牧のもとに来るのに、それでも他をも受け入れるほどの優しさを持った人間だということに、独占できないことで苦しくなる。
どんなに尽くしても自分だけのもにのならないのが春田創一なのではなかろうか?


そんな自分の独占欲が分かっている牧は自分の卑屈さに自分で傷つく。


苦しくて耐えられなくなったのはそんなところではないだろうか⁉


不安はちずとのことを見たからなのかなぁ。
そして母親の話を聞いたからかなのかなぁ⁉
そんなのは今までの恋愛でもあったのではないだろうか⁉


幼馴染みが傷ついているのをほっとけなくて抱き締める春田は自分だけのものにはならないと悟ったからではないだろうか⁉


ちずと幸せにって言うのは既に前の週にやってるわけで聡い牧が何度も同じことをするとも思えないけどな。


もう一度いう。私は牧凌太は物凄く屈折している人間だと思っている。


黒澤部長のいう「若くてイケメンでフレッシュでそれから仕事が出来て…」ハイスペック男子ではなく、今まで自分の愛する対象が同性だということを隠していなければならない立場から屈折していったのだろう。


幼い頃は、好きな男子が出来ても異性のような告白の仕方は難しい。
相手を自分に振り向かせるにはどうしたらいいのか繊細な彼は学んでいただろう。


武川主任との回想シーンでオドオドと目にいっぱい涙をためていた牧は、その後元カレを呼び捨てで呼ぶ。
潔癖症の武川主任を「おれがあいつじゃなきゃダメなんだ」と言わしめるほど完璧に相手好みのオトコになったのだろう。


だけど、そこに牧凌太という人物はどこまで本来の自分があったのだろう?
尽くしながらドSでもある?


男同士の愛という中には主導権を取ったり取られたりということも含まれているのだろうか?
いつも敬語の年下の牧が突然上から目線のセリフや毒を吐くときギャップに視聴者はドキドキするのだ。


そんな牧をドキドキするよりもっとすっぽり覆ってしまった春田創一。
誰に対しても優しさで包んでしまう春田を前にして、きっと牧は手も足も出なかったのだろう。


どうすれば春田さんが一番幸せなのか、幸せにしてあげられる自分でいられるのか?に、こころを砕いた牧。
でもそれでは自分はどうしたかったのか?本当は時にわがままも言って、自分を一番に優先させたかったのではないだろうか?


ずっと自分を殺すことで苦しくて仕方なかった。牧は黒澤部長の真逆をいっている。
春田を好きになるほどに牧は傷つく。
結局幸せじゃなかったという。苦しくて仕方なかったと。
好きな気持ちが強すぎる自分に苦しむ牧。
ここに視聴者はグッとくる。切ない牧を表現する林遣都が上手すぎてこちらも苦しくなる。


なぜ、一年後の映像を出すかといえば、離れた二人に冷静に自分のこころを分析するにはそのくらいの時間が必要だからではないだろうか?


相変わらず全てを流されるまま受け容れるイノセント野郎は受け入れて部長と同棲しているし、部長は相変わらずの女子高生気分ではるたん♡といっている。
内面的に次に一歩近づこうとする部長と、思考がフリーズして流されっぱなしの春田。


予告では牧は「ふっざけんじゃねーよ」と絶叫している。
春田と部長の結婚が執り行われるからか、一年間別れてもずっとそばで仕事をしていた春田が上海に転勤するからか、自分の幸せより、好きな人の幸せが一番だと自分の気持を押さえつけてきた一年。
牧にも転機が訪れて欲しいと願っている。


好きになり過ぎて、自分を押し殺すのではなく、
「どこにいても何があっても、あなたのことが一番好きなんだよ」
と素直に言える牧でいて欲しい。その言葉で春田を困らせたっていいんだよ。
自分は幸せにしてあげられないなんて思わなくていいのだよ。
もう二度と「春田さんなんてすきじゃない」なんてセリフは吐かないで欲しい。


性別を超えて人を好きになるという難しいテーマを扱ったこの作品。
一歩間違えると大変な色物作品に落ちてしまう。そうならかったのは奇跡のコラボレーションだったからだ。


ただ、ひとりの人を真剣に好きになるときめきを思い出させてくれた素敵なドラマであった。


ちなみに文章から分かるように私はすっかり牧に魅了された一人だ。
かわいらしい牧凌太の笑顔をみられる幸せなラストになることを願ってやまない。

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